UNDEFINED is an instrumental dub band/unit

UNDEFINED

ライナーノート(大石始)

 レゲエの故郷であるジャマイカという島は、これまでに数多くの音楽的方法論を発明してきた。ディージェイたちのトースティングやサウンドシステム・カルチャーもそのひとつだし、特定の音源を加工して新たな表現を生み出すダブの手法が後に「リミックス」という形で世界中に広がっていったことはよく知られているとおりだ。

 ジャマイカが発明してきたそうした方法論を現在に継承し、さらに発展させていこうというユニットが2014年に結成されたUNDEFINED(アンディファインド)だ。メンバーは国内最高峰のレゲエ・バンド、THE HEAVYMANNERSに2009年まで在籍し、その後リユニオンしたDRY&HEAVYにもサポートメンバーとして参加したsahara(キーボード/プログラミング)、ルーツ・レゲエ/ダブ・バンド、SOUL DIMENSIONのドラマーも務めるohkumaという2人。極めてミニマムな編成だが、それゆえの丁々発止のやりとりがUNDEFINEDの魅力のひとつでもある。

 本作は彼らにとって初の音源となる。レコーディング・エンジニアはTHE HEAVYMANNERSのダブ・エンジニアも務める小林"Che Que"宏信。また、ビートメイカーとして自身のアルバムも数多く残しているAZZURROがマスタリングを担当している。

 まず彼らのオリジナリティーが存分に発揮されているのが、エクスペリメンタルな残響空間が広がる「after effect」だ。Rolandのスペース・エコー「RE-201」やVesta Fireのスプリング・リヴァーブ「RV1」といったアナログ機器による深い残響音/ノイズのなか、saharaのピアノがまるで蜃気楼のように鳴り響く。まさにエクスペリメンタル・ダブの極北。息を飲むような残響空間には圧倒されるばかりである。また、ohkumaによる疾走感のあるドラムの上でsaharaがミスティックなメロディーを奏でる「quiet flame」のディープな味わいはどうだろう? 緊張感とテンションが一切途切れることなく、4分53秒間持続するこの曲には深化したミニマル・ダブの姿があり、ルーツ・レゲエの永遠の可能性がある。

 UNDEFINEDという2人組は日本のダブ/レゲエ界における注目のニューカマーであると同時に、レゲエの方法論を今までにない形で発展させてくれるであろう野心的なユニットでもある。その歩みの最初の一歩となる初音源。決して聞き逃してはならない。
大石始(ライター/エディター)